Doshisha University
学年暦の改定にともなう新しい学びのかたちにPanoptoが貢献。
同志社大学では、2024年度より新たな学年暦を導入。対面授業とオンデマンド授業を組み合わせた新しい学修スタイルの提供を開始した。中でも大きな変化として挙げられるのは、学生たちが履修登録前に授業を事前にチェックできるようになったことである。学期始めの1週間、学生たちが興味のある科目をオンデマンド授業で自由に視聴し、実際に授業の内容を理解した上で履修登録を行えるようにした。履修登録後は13回分を対面授業で受け、最後に再びオンデマンド授業を受講。学修内容の総括や期末試験の講評などをオンデマンドで受講することで、内容の理解を深めるとともに習熟度の確認ができるようになった。
課題:様々な動画配信サービスの混在運用で管理が煩雑に
同志社大学では、以前から動画配信システムを使用してオンデマンド授業を行っていたが、画質が悪く視聴しづらい点やストレージ容量の不足から使いづらさを感じていた。また、当時のシステムには収録機能がなく、アップロードや公開作業もシステム管理者が実施していたため、教員にも管理者にも大きな業務負担となっていた。さらに、コロナ禍になるとオンデマンド授業が急増し、教員自身が個々に一般の配信サービスを使って動画を公開するようになり、大学の資産である授業動画の管理が煩雑になるなど、様々な課題を抱えていた。
導入した理由:授業利用と職員の事務利用が可能な共通プラットフォーム
画質や容量不足の改善はもちろん、教員が収録から配信までの作業を自ら行うことができるプラットフォームが必要であると、新システムの導入計画を始動した。また、同志社大学では以前から研修動画など、職員間での配信需要もあったため、高いセキュリティを保ちながらそれらを同一プラットフォームで実 施 可 能 な点 がPanoptoの魅 力 だったという。検 討の結果、2022年9月に全学生28,000人と教職員などを含む30,000人でPanoptoを契約。学生が授業動画を視聴する際はLTI連携によるLMSへのシングルサインオンでPanoptoを利用し、研修動画などはWeb SSO経由で利用することで、特定のユーザーや学内関係者に限定した配 信を行うことが可 能となった。
導入後の効果:授業だけでなく新入生に向けた説明動画の配信にも活用
同志社大学 情報化推進部 情報システム課 情報支援係 係長の山北英司 氏は導入後の活用についてこう語る。
「Panoptoを導入後、授業動画の配信が円滑になったことはもちろん、学部カリキュラムの情報や、図書館の利用方法、教職課程の説明会など、まだ大学生活の流れが分からない新入生に動画で情報発信ができるようになったことは大きな効果だったと感じています
また、教 員に向 けたPanoptoの収録・配信方法の説明においても、ログイン後すぐに見える場 所に解説動画をアップしておくことで、Panoptoをスムーズに浸透させることができました(画面 1 参 照)。問い合 わせ窓 口 は 設けておりますが、Panoptoのインターフェイスが分かりやすかったこともあり、想定していたよりもだいぶ件数が少なかったと思います」
学年暦の改定により、オンデマンド授業の新たな活用を始動
2024年度にスタートした新学年暦では、学生が履修登録前に受講する1回目の授業と、履修登録した科目の最後に行われる授業の計2回をオンデマンド授業で実施。利用方法を柔軟に選択できるPanoptoだからこそ実現した取り組みだと山北氏は語る。
「1週目の授業は履修科目を決めるため学生全員が視聴できる必要があり、反対に最後の週は科目登録者のみに視聴権限を付与する必要がありました。もちろん、Panoptoならそのどちらにも対応可能です。1週目はWeb SSO経由でシラバスに掲載したURLから動画にアクセスしてもらい、最終週はLMS経由での視聴とすることで両方の運用を円滑に実施することができました。このように、視聴権限の異なる配信でもPanoptoのみで完結できる点は管理者側にとっても非常にありがたいですね」
キャプション機能で、開かれた学びを提供
アクセシビリティの観点からもPanoptoは有効だと山北氏は語る。
「Panoptoには授業の音声を字幕にするキャプション機能があるため、聴覚障がいのある学生にもしっかりと学修環境が提供できる点は導入して良かったと思える大きなポイントでした。細かい文字修正が必要な時はありますが、非常に高精度な文字起こし機能のため、手間もなくスムーズにキャプションを付けることができています」
Panoptoの利用が増加し、授業の質向上にも貢献
最後に、山北氏はPanoptoの導入効果についてこうまとめる。
「大学としてはPanoptoによる授業収録はあくまで推奨としており、WEB会議ツールなどでの収録も認めてはいるものの、使い勝手の良さからPanoptoを使用している教員の割合が最も多い状況です。作成した動画時間の統計を見ても、半年で3,800時間だったところが10,300時間に増えるなど、年々多くの先生方がPanoptoの良さに気づき、活用が広がっている結果が出ています。特に最近では、より良い授業を提供しようと撮影スタジオを使って収録したり、授業自体の見直しを図ったりする先生方が増えてきています。Panoptoは、学生への学修効果だけでなく、授業を行う教員側にも大きな気付きを与えてくれるツールであると感じています」
同志社大学について:
キリスト教主義・自由主義・国際主義の教育理念のもと、1875年に前身の同志社英学校を設⽴した同志社大学。京都府内に文系学部・研究科が集まる今出川校地と理系学部・研究科が集まる京田辺校地を構え、約28,000人の学生たちが学んでいる。2025年には創立150周年を控えてり、「VISION 2025」と名付けた教育・研究・キャンパスライフの向上を目指す新たな改革に取り組んでいる。
※画像およびロゴは同志社大学提供